第2章 アーノルド♡ハカチェ∞ソクラテスの追想(12)
権さんの欠点は、「べんきょう好き」で「助平」なところだった。
とくに、「おばやん」たちにはめっぽう弱く、超がつくほどの「おばやんマニヤ」だったのだ。
「イケメン社長さん、べんきょうしてねーん、べんきょうしてねーん・・・・・もう、イケメン社長さんたら、ビックなんだからー・・・ツネっちゃうから・・・・・ツネ・ツネ・ツーン・・・♡・♡・♡・!!!」
こう言われると馬ナミの権さんは、さらに顔を長くして、「あいよー、あいよー、あいよー!」と、何度も叫びながら、ご縁があるようにと、なんでも15円に値引きをしてしまう。
「キャー社長さんステキー、もっとイッちゃってー・・・もっとイッちゃってー・・・!!」
「あいよー、あいよー、あいよー・・・・・あいよー、あいよー・・・!」
「キャー社長さんステキー、もっとイッちゃってー・・・もっとイッちゃってー・・・!!」
「あいよー、あいよー、あいよー・・・・・あいよー、あいよー・・・!」
お調子者の権さんは、「おばやん」たちの声援にパーフェクトにこたえまくり、すべての品物を15円にしてしまうのだ。
毎日のように繰り返されるこの光景に、嫉妬深い妻のカネコさんの怒りはマックスに達したようだ。
「おばやん」たちにツネられて赤くなった権さんの横っ腹に、怒りを込めて塩をぬりこんだ。
「何が“あいよー”だよー・・・・いつまでも、ニヤニヤしてんじゃねーよー・・・あんたにまかせていたら、店なんて終わってしまうかんねー、このー馬ナミ野郎めー・・・あんたなんかには、任せられないかんねー・・・・・この助平野郎めー・・・こんなことをやっていたら、店なんてやっていけねんべなー、この、オタンチン野郎めー!!」
馬ナミ野郎・助平野郎・オタンチン野郎と、さんざん罵倒されたが、「おばやんマニア」は一向に懲りなかった。
何故なら、彼は生粋の「おばやんマニア」だったからだ。
度重なる値引きに、カネコさんの怒りのボルテージは上限を突き抜けて爆発・・・・イケメン社長は急転直下で裏方に追いやられてしまったのだ。
せっかく努力して築きあげた栄光なのに、彼は名ばかりの社長になってしまった。
権さんが何より辛かったのは、大好きな「おばやん」たちに会うことを禁止されてしまったことだったようだ。
四六時中、カネコさんの目が光っていて、接客ができなくなってしまったのだ。
ヤケになった権さんは、放蕩者のカメさんとツルんで、商品棚にある岡本本家の清酒キンカメを飲みまくっていた。
小皿を叩いて八木節を踊る二人の姿は、狂気とともに悲哀に満ちていた。
一口飲んでは「プー・・・プー・・・プー・・・!!」と奇声を上げる。
五臓六法に清酒キンカメが染み渡り、世知辛い世の中から逃避して、つかの間のエクスタシーを味わっているかのようだった。
権さんは、キンカメが一定量に達すると、突然、地面にひれ伏す。
そして、泣きながらこう叫ぶのだ。
「ご先祖様、申し訳ありません…言いつけを守れませんでした。お許しください。」
あの日、雷雨の中で受けたご神託を思い出すのだ。
「・・・良いか・・・おまえは助平だから、おばやんにはくれぐれも気を付けるのじゃ・・・ヒヒーン・パカパカパカ・・・・!」
すると、貧乏神のカメ師匠が酔っぱらいながら説教をする。
「まったくもって・・・おまえは、しょうもない奴じゃ・・・おばやんよりも、キンカメじゃろう・・・たんと、飲んで飲みまくるんじゃー・・・オールナイトでイッちゃうぜー・・・プー・プー・プー・・・!!」
その言葉に、権さんは涙を流しながら絶叫するのだ。
「ありがとうごぜーます・・・ありがとうごぜーます・・・ご先祖さまー・・!!」
二人の姿を、遠くからながめながら、妻のカネコさんが舌打ちをする。
「チィ・・・・・まったくしょうがねーのー、あのごくつぶし野郎めー・・・!!」
しかし、権さんはウルトラマンのように、三分間が経過すると何ごともなかったように立ち上がり、アンドロメダ星雲にむかって絶叫するのだ。
「あいよー・・・あいよー・・・あいよー・・・あいよー・・・あいよー・・・!!!」
そしてまた、清酒キンカメを美味そうに飲みまくり、カメ師匠と小皿をたたいて八木節を踊るのだ。
やがて、一定量に達すると、ふたたび地面にひれ伏し、泣きながら叫ぶ。
「ご先祖様、申し訳ありません…言いつけを守れませんでした。お許しください。」
あの日、雷雨の中で受けたご神託を思いだすのだ。
「・・・良いか・・・おまえは助平だから、おばやんにはくれぐれも気を付けるのじゃ・・・ヒヒーン・パカパカパカ・・・・!」
すると、貧乏神のカメ師匠が酔っぱらいながら説教をする。
「まったくもって・・・おまえは、しょうもない奴じゃ・・・おばやんよりも、キンカメじゃろう・・・たんと、飲んで飲みまくれー・・・オールナイトでイッちゃうぜー・・・・・プー・プー・プー・・・!!」
権さんが、涙を流しながら絶叫するのだ。
「ありがとうごぜーます・・・ありがとうごぜーます・・・ご先祖さまー・・!!」
二人の姿を、遠くから妻のカネコさんが舌打ちをしながら眺めている。
「チィ・・・・・まったくしょうがねーのー、あのごくつぶし野郎めー・・・!!」
しかし、権さんはウルトラマンのように、三分間が経過すると何ごともなかったように立ち上がり、アンドロメダ星雲にむかって絶叫するのだ。
「あいよー・・・あいよー・・・あいよー・・・あいよー・・・あいよー・・・!!!」
そしてまた、清酒キンカメを美味そうに飲みまくり、カメ師匠と小皿をたたいて八木節を踊るのだ。
これが、毎日繰り返されるものだから、いつしか正直屋の名物劇場になっていた。
とにかく彼等は全員、完全にイッちゃつていたのだ。
!!!!!!!!!!!
来月号に、つ・づ・く  ♪ ♪ ♪
☆バンビー。
【語り手】アーノルド♥ハカチェ∽ソクラテス