第2章 アーノルド♡ハカチェ∞ソクラテスの追想(13)
横川パーキングで「峠の釜飯」をたんと食べて、ゴキゲンで車を西へ飛ばしていると、軽井沢インター手前のトンネルの頭上に、突如として巨大な岩山が出現する。
これが、あのふたこぶラクダのような岩山・・・そう・・・恩賀高岩だ。
恩賀は恩賀集落の地名で、高岩は標高1084mの雄岳と雌岳南峰(P1)本峰(P2)北峰(P1)からなっている。
登山口から40分ほどで雄岳にとりつくことができるのだが、なんと下から見上げるとパックリと雄岳が割れているのだ。
三段に屈折した天井から30m程の太いクサリが垂れ下がり、それにつかまって頂上まで登るのだが、ザックを背負っていると、岩に挟まってパニックに陥る。
登山の基本である三点確保を心がけながら慎重に進むのだが、すぐにそんな余裕はなくなってしまう。
しかし、悪戦苦闘の末、這い上がった頂上は・・・眼下に松井田の街並みと,東に延びる上信越高速道のトレース・・・そして、谷急山・五輪山・御岳・裏妙義のすばらしい景観が感動を提供してくれるのだ。
頂上からの絶景・・・・・まさに、固唾を飲むとはこのことだろうか。
ゴツゴツしとた岩山は、まるでジュラシックパークだ。
翼竜が飛んでいても、決して不思議ではない。
そんな疑問など軽く吹き飛ばしてしまいそうな世界が、そこには広がっているのだ。
パラグライダーで青空の中、翼竜といっしょに、このジオパークを滑空してみたいと、誰もが思うはずだ。
山の向こうは行楽客でにぎわう軽井沢なのに、ここの恩賀高山は孤高が似合う場所でもあるようだ。
!!!!!!!!!
「ココちゃん、ココちゃんじゃないダンスかー・・・ココちゃん!」
薄れゆく意識の中で、感高い声がどこからともなく聞こえてきた。
「ココちゃん、ココちゃんじゃないダンスかー・・・ココちゃん!」
叫んでいたのは、先日、突然やってきたオサゲと坊主頭だった。
「ココちゃん、何をやっているダンスか・・・・・?」
度重なる問いかけにも、オカッパ頭は無表情だった。
「ココちゃん・・・・・ココちゃん・・・!!」
坊主頭のキナサが叫んだ時だった。
一瞬、私の頭を締め付けていたムチがゆるんだのだ。
ニャ・ニャ・ニャ・ニャンコロリーン・・・・イマダ・イマダ・イマダコウスケ・・・!!
チャンス到来・・・ムチから解放された私は、思いっきりダッシュをして、草むらにすべり込み、身を隠したのだ。
「ウ・ヒョ・ヒョ・ヒョ・ヒョ・・・・・とうとう見つけたぞ、海王星第一衛星トリトンの王女キナサ姫・・・お前を消す・・・!!」
オカッパ頭が不気味な表情で叫んだ。
「ココちゃん、ココちゃん、どうしたダンスか、何があったダンスか?」
度重なる問いかけにも、オカッパ頭は勝ち誇ったように、ただ高笑をしているだけだった。
「ウ・ヒョ・ヒョ・ヒョ・ヒョ・・・・・ウ・ヒョ・ヒョ・ヒョ・ヒョ・・・!!」
オサゲのコハネが困ったように問いかけた。
「キナサお姉様、ココちゃんがおかしくなってしまったダンス・・・あの優しいココちゃんがおかしくなってしまったダンス・・・!」
「スペース・ビー(宇宙蜂)のせいだ・・・・・毒が残っているんだ・・・・・!」
キナサが、つぶやいた。
その時だった。
翼竜が羽ばたき、オカッパ頭とともに上空へと舞い上がったのだ。
すぐさま雷鳴がとどろき、空は黒雲に覆われはじめた。
・・・・・・突然、オカッパ頭が持つ金色のムチが、ニョロニョロとスパイラルを描きながら、天高く延びたのだ。
「グワ・グワ・ドッカーン・・・・・・グワ・グワ・ドッカーン・・・・!」
轟音とともに、急転直下、金色のムチが二人をめがけて急襲した。
「ココちゃーん、何をするんダンスか、止めるダンスよー!!」
ムチは、強烈な力で二人に絡み付き、グイグイと締めつけた。
「ウ・ヒョ・ヒョ・ヒョ・ヒョ・ヒョ・・・・・・・どうだい、ゴールデンスネークのお味は・・・もっと味わうがいいぞ・・・!!」
「ココちゃん、何をするダンスか、ココちゃん、やめるダンスよ・・・・・・キナサお姉様、大丈夫ダンスか?」
オカッパ頭は、コハネの言うことなど無視するかのように、ムチを、二重、三重に絡み付けてきたのだ。
「ウ・ウ・ウ・ウ・・・・・早くスペース・ビーの毒を消さないと、元へ戻らないかもしれない。」
キナサが、おもむろに右手を上げた時だった。
「いけません、キナサ姉様、体力がまだ回復していません。マリンブルー・エナジーを今使えば、死んでしまいます。」
坊主頭のキナサを、コハネが必死になって止めていた。
「わたしにおまかせ下さい・・・・・・、ハネちゃん、わたしがお相手ダンス・・・!!」
毅然とした態度で、オサゲが立ちあがった。
「オレンジボールスピーダー・・・ゴー・・・!!」
その言葉と同時に、三人の頭上にオレンジの球体が出現した。
あ・あ・あ・・・・・あれは一週間前の夜、初恋桜の前に出現した物体ではないか。
何故,何故、何故こんなところに・・・何故なんだ・・・ナンダ・カンダ・ナンダ・カンダ・・・神田の生まれかい・・・いんや、イナリ山の生まれだんべー!!
瞬間・・・オレンジの球体から強烈な光が発射されて、ムチがほどけけて、二人は解放された。
そして、オサゲの少女は、球体の中に吸い込まれていった。
わたしは、あまりにの恐怖を目の当たりにして、思わず失禁してしまった。
なんと、ズボンがビショビショになってしまったのだ。
来月号に、つ・づ・く  ♪ ♪ ♪
☆バンビー。  
【語り手】アーノルド♥ハカチェ∽ソクラテス