第2章 アーノルド♡ハカチェ∞ソクラテスの追想(26)
「な・な・な・なんだーテメーはー・・・ふ・ふ・ふ・ふざけんじゃねーぞー・・・!」
恐怖に震えながら、杉緒杉男が苦し紛れにキクさんにビンタを張った。
だが・・・・・・・その手には、力がなかった。
「キ・キ・キ・キ・・・ケ・ケ・ケ・ケ・・・コ・コ・コ・コ・・!」
彼女は、ただ不気味に笑うだけで、こんなことでは決して動じることはなかったのだ。
「・・・気が、すんだんべかー・・・気が、すんだんべかねーーーーーー!」
杉緒杉男は完全に固まってしまい、キクさんの問いかけにも、言葉が出なかった。
「そんなもんで、いいだんべかーーー・・・そんなもんで、いいだんべかーー!」
「・・・ウ・ウ・ウ・ウ・ウ・ウ―――ン・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「そんなもんで、いいだんべかーーー・・・そんなもんで、いいだんべかーー!」
「・・・ウ・ウ・ウ・ウ・ウ・ウ―――ン・・・・・・・・・・・・・・・・・」
杉緒杉男は便秘なのだろうか、ウーウーとうなっているだけで、何の反応も示さなかったのだ。
「そうかーい・そうかーい・そうかーーーーーーい・・・!」
彼女は、とても壮快だった。
「そうかーい・そうかーい・そうかーーーーーーーーーーい・・・!」
彼女は、ますます壮快だった。
「んじゃー、こっちの番だんべー・・・・・やらかしてもらうんべー・・・・ちっと、さわらしてもらうんべー、痒いけんどなーーー、がまんしろやなーーー!」
こう言ったとたん、キクさんはものすごい形相で、杉緒杉男のヒザを蹴り始めたのだ。
ド・ド・ド・ド・ド・ド・・・・・・蹴って、蹴って、蹴りまくったのだ。
すると、あの大きな杉緒杉男が・・・まるで大木が倒れるように、ドサッと横転したのだ・・・そして・・・今度は、強烈なストンピングが始まった。
顔、腹、股間、足・・・・・・場所を選ばず、踏みつけ回ったのだ。
一塁ベース並みの巨大な顔がゴムのように伸びて、杉緒杉男は完全に戦闘不能になってしまった。
まさに、ご臨終様・・・干からびたカエルのように、大の字に横たわってしまい、10カウントをしても、起き上がれない状態になってしまったのだ。
ドッカーーン、ドッカーーーン、ドッカーーーーーーーン・・・・・!!
もはや・・・・・誰が見ても、彼女の勝利だった。
キクさんこそが、真のイナリ山ヘビー級チャンピョンなのだ。
しかし、彼女は攻撃の手を緩めなかった。
「もうちょつと、シメておくんべー・・・・い・く・ぞーーー・・・!」
彼女の拳が、まるでマシンガンのように、彼の顔面にさく裂したのだ。
杉緒杉男の顔が、みるみる膨れ上がり、一塁ベースのような顔が、巨大なザルのように変形していったのだ。
「やめてください・・・やめてください・・・やめてください・・・!」
唖然としてながめていた松尾松男が、生命の危機を感じて止めに入ったが、キクさんの勢いを止めることはできなかった。
「やめてください・・・これ以上やると、大変なことになります・・・やめてください、やめてください・・・!」
後ろから抱きついてみたのだが、キクさんに簡単に振り飛ばされて、あやうく橋から落下しそうになった。
「やめてください・・・本当に、これ以上やると、大変なことになります・・・やめてください、やめてください・・・!」
何とか止めさせようと、松尾松男は必死にくらいついたのだ。
キクさんの頭を両手で抱え込み、あまりの激しさに呼吸はマックスになっていた。
・・・・・・・その時だった。
急に、キクさんが静かになり、その場に座り込んでしまったのだ。
「イヤーン、ぼっこーん・・・・・・・ふにゃフニャフニャ・・・♡」
「ん・・・・・・・・ン・・・・・・・ン・・・・?」
「イヤーン、ぼっこーん・・・・・・・ふにゃ・フニャ・フニャ・・・♡」
「ン・・・・・・・ン・・・・・・・ン・・・・・?」
そうなのだ・・・彼女のウイークポイントは、ウナジだったのだ。
松尾松男の激しい鼻息がウナジにあたって、腰砕けになってしまったのだ。
「イヤーン、ぼっこーん・・・・・・・ふにゃ・フニャ・フニャ・・・♡」
来月号に、つ・づ・く  ♪ ♪ ♪
☆バンビー。
【語り手】アーノルド♥ハカチェ∽ソクラテス