第2章 アーノルド♡ハカチェ∞ソクラテスの追想(45)
かつて、イナリ山の畑には「こえだめ」という施設が沢山あった。
それは糞尿を一時的に貯蔵しておいて、作物に必要な時に必要な量だけ散布できるというチョー便利な施設であったのだ。
大きさはさまざまで、だいたいが3メートル四方の物が多かった。
乾燥すると表面が固くなり、中は底なし沼のようにドロドロになるのだ。
北風にさらされ、砂塵が舞うと、周囲と同化して判別がつかなくなり、とても危険な施設に変貌するのだ。
そのため、多くのイナリ山村民が犠牲になった。
カメ師匠、カネコさん、イノクマさん、権さん、バッハ・ハマコさん、チャイコフスキー・キミコさん・・・・その他大勢・・・!
沢山のイナリ山村民が、もののみごとに落下したのだ。
カメ師匠などはマックスに泥酔したあげく、スパイラル曲線を描きながら空中で2回転半ヒネリを加えるというD難度の荒技を駆使して、ダイブしたのだ。
しかし、彼はタダ者ではなかった。
水中でもがきながらも、岡本本家の清酒キンカメを、しっかりと抱きかかえ、決っして離さなかったのだ。
彼のキンカメに対する愛は、本物だったのだーーーーーーーー!
・・・・・そんな事件が頻発したため、当時の区長であるツル先生により、かなりの数が撤去されたのだが、場所によってはまだ残っている施設もあった。
余談になるが、「糞」という字は米が異なると書く。
日本人の主食は米だから、この字はとても日本的な感じがするのだが、どうであろうか?
!!!!!!!
少年ホースの中の最初の犠牲者は、「謎の巨人クメ」であった。
それは、12月のからっ風が吹く日曜日、我々が秘密基地であるB地点に向かつている時に起こったのだ。
B地点とは利根川にある防空壕のことで、チミー隊長が勝手に命名したものなのだ。
「Aの次はBだんべ・・・Bの次はCだんべ・・・Cの次はDだんべ・・・ボクってスゲーよなー、天才だよなー、このヒラメキ・・・スゴすぎねーかー・・・自分でも恐ろしいくらい、キレてるよなー・・・そうだんべー、タケよー・・・・ウ・キョ・キョ・キョ・キョ・キョーーーーーーーン・・・!」
隊長の自画自賛が始まると、これに即座に応えなければならないお約束になっている。
「またかよ・・・めんどうくせえー人だな・・・いいかげんにしてくれよ・・・!」
と、思いながらも、仕方なく、いつものように持ち上げなくてはならないのだ。
「そうだんべなー、そうだんべなー・・・隊長は鼻がゴツイからアメリカ人じゃねーのかーい・・・!」
タケに続き、私もヨイショをかますのだ。
「そりゃーそうだんべ・・・隊長は、ただもんじゃねーぞ・・・アゴがゴツイからイギリス人じゃねーのかー・・・!」
すると、チミー隊長はゴキゲン・オヤジになるのだ。
「ボクって、恥ずかしながら、英語で夢を見るんだぜー・・・いやになっちゃうよなー・・・見える風景がハリウッドなんさー・・・本当は、外国人なのかなー・・・ ウ・キ・キ・キ・キ・キーーーーン・ハ・キョ・キョ・キョ・キョーーーーーーーン!」
何が恥ずかしいのだ、何がいやになっちゃうだ、何がハリウッドなのだ、何が外国人なのだ・・・これは、まさに白昼夢ではないのかーーーーーーーー!
そして、追い打ちをかけるように、タケが爽快に持ち上げるのだ。
「そうかーい、そうかーーい、そうかーーーーーい・・・やっぱり、隊長は鼻がゴツイからアメリカ人だよなー・・・!」
私も、ガッツリと続くのだ。
「そうだんべー、そうだんべーー、そうだんべーーーー・・・そうだと思ったぜーー隊長はアゴがズナイから、イギリス人だんべーーーー!」
この二段攻撃で、チミ―隊長は最高のエクスタシーに酔しれて、エビのように反り返り、そのまんま地面に頭をメリ込ませてしまったのだ。
「ボクって、ボクって・・・・・イナリ山の天才だよなー・・・ありがとう、みなさーーーん、ありがとう、イナリ山・・・ヒヒーーン・ヒヒーーーーン・パカ・パカ・パカーーーン・・・ヒヒーーン・ヒヒーーーーン・パカパカパカーーーン!
「いいぞー、正直屋ヒッチコック・・・あんたは天才、あんたは偉人、あんたはレオナルド・ダビンチ・・・イナリ山の誇りだーー!」
全員のエールとともに、隊長の歓喜の声が、イナリ山の田園に、爽快にコダマしたのだーーーーーー!
「ヒヒーーン・ヒヒーーーーン・パカパカパカーーーーーーン!」
☆バンビー。
来月号に、つ・づ・く  ♪ ♪ ♪
【語り手】アーノルド♥ハカチェ∽ソクラテス