第2章 アーノルド♡ハカチェ∞ソクラテスの追想(51)
クメは背中を丸めたまま、なかなか動こうとはしなかった。
何やら、両手で大事な所を、必死で隠しているように思えたのだ。
私は、オヤジカットから漂う悪臭に息が詰まりそうで、ガマンの限界だった。
「おい、おまえ、臭うぞ、頭をたんと洗えや・・・!」
私の問いかけで、クメはシブシブと立ち上がり、背中を向けたまま前屈姿勢になって、水の中で頭をゴシゴシとシゴキはじめた・・・が・・・高身長のため、水面上にケツが丸出しになっていた。
何気なく後姿をのぞいていると、股の間にモズクのようなゴミが付着しているのを発見したのだ。
私は気になって、そっと近寄り取り除いてやろうとしたのだ・・・が・・・いくら引っ張っても、取れなかったのだ。
何度かトライしていると、クメは腰をクネクネと動かし、やがて、一気に振り返ったと思った瞬間、上空からメガトンパンチがとんできたのだ。
私は、2メートル程、後方に飛ばされてしまった。
「テメー、何するんだよー、ゴミを取ってやろうとしただけじゃねーか・・・!」
突然の出来事に、何が起きたのか理解することができなかった。
クメは顔を赤くして、カンカンに怒っているようで、その目には大粒の涙が光っていた。
ゴミを取ってやろうとしただけなのに、そんなことで人は激怒したり泣いたりするものなのだろうか・・・?
と、考えたが・・・・・やがて、その理由が判明したのだ。
そうなのだ・・・あれはモズクではなく・・・なんと、なんとーーーー・・・!
・・・ボーボーだったのであるーーーー・・・!
しかも、みごとなまでのボリューム感、光沢のあるブラック、堂々とした存在感・・・まさに三拍子そろった、本物のお宝だったのだ。
私は、パンチの痛さよりも実物を近くで拝んだことの驚きと感動に酔っていたのだ。
そしてなにより、あきらかに一歩先を行くクメの偉大さに感動したのだ。
太陽の光を浴び、仁王立になって激怒しているクメの姿を下から見上げて、思わず手を合わせ、ひれ伏してしまったのである。
!!!!!!!
利根川の土手は太陽の光を受けて、それなりに暖かかった。
着物を川原の石の上にならべて天日干しにし、その間、岸辺で体を乾かすことにした。
12月の日中に、こんなところで裸になった人間が目撃されれば、変質者として即座に警察に通報されていただろう。
ここは、ヌーディストビーチでもなくサウナでもない。
清らかな水が流れる神聖な場所・・・そう・・・利根川の岸辺なのだ。
少年ホースの仲間たちに見つかれば、たんとからかわれたかも知れない。
チミー隊長ならば「これはチノビの仕業だ、チノビは卑怯者だ、汚ったねー野郎だ、プタ野郎だ・・・!」と、メチャクチャに騒いだことだろう。
!!!!!!!!
・・・・・二人の間に、沈黙の時間が流れて行った。
相変わらず、クメは体を丸めて、ずっと下を向いていた。
私は、何か話題を探して話しかけようとしたのだが、この場の空気をつかめずに、なんとなく躊躇していたのだ。
思うに、クメには驚かされることばかりで、知らないことが沢山あるような気がした。
とびぬけて体が大きいこと、知らないうちに少年ホースに加入していたこと、まったく言葉を発しないこと、独特のオヤジカット、クメと書いてある青いジャージ・・・・・?
そしてもう一つ・・・私は、さきほどから解けない新たなるナゾに、思い悩んでいたのだ。
それは・・・クメのボーボーは「みごとなまでのボリューム感、光沢のあるブラック、堂々とした存在感」と、三拍子そろったりっぱなお宝だが、何かが足りないような気がしてならなかったのだ。
なにか・・・なにかが・・・なにかが足りない・・・なんなのだろうか・・・!
なにか・・・なにかが・・・なにかが足りない・・・なんなのだろうか・・・!
なんなんだーーーーい、牛乳屋のギュウゴロウさーーーーん・・・・?
納豆屋のトクゾウさーーーーん、饅頭屋の万太郎さーーーーーん・・・・?
必死に、考察したのだが、答えを見つけることができなかったのだ。
そんな時、寒さからなのか、急に尿意を覚えて、クメから少し離れたところで土手に向かって一気に放尿をしたのだ。
管の中を温かな老廃物が一気に通過した瞬間、体がブルブルと震えた。
・・・まさに、この瞬間だった。

キタ・キタ・キタヨーーーー!・・・キタンダヨーーー-・・・!
10,000Kギガの回路がフル稼働して、なんと答えが導き出されたのだ。
そうだ・・・そうだよ・・・そうだったんだ・・・そうだんべなーーー・・・!
とうとう、ナゾが解けたぞーーー、そうか、そうだったのかーー・・・牛乳屋のギュウゴロウさーーん、納豆屋のトクゾウさーーーん饅頭屋の万太郎さーーーーん・・・・・!
ウ・ヒョ・ヒョ・ヒョ・ヒョ----ン・・・!
ナゾがとけたぞーーーー・・・!とけたんだよーーー・・・!
バンビー。
来月号に、つ・づ・く  ♪ ♪ ♪
【語り手】アーノルド♥ハカチェ∽ソクラテス