第2章 アーノルド♡ハカチェ∞ソクラテスの追想(65)
隊長の「ナッツ・チャレンジ」は、その後も続いていました。
そして次に、三番手のタケが、ニヒルな微笑を浮かべながら前に出たのです。
「隊長・・・心を込めて、ナッツ蹴りを行きまーす。」
すると、シュッと前蹴りを放った瞬間、「キン・キーーン」と、半鐘を叩いたような美しい音色が響いたのです。
それと同時に、隊長の体が右60度に傾き、黒目がフクロウのようにクルクルと回転し・・・・・まるでピシャの斜塔のように、倒れそうで倒れない、マカ不思議な現象が起きたのです。
「オレは不死身の男だ・不死身のナイス・ガイなんだ!」と、団員の前で大ミエを切ってしまった手前、簡単に倒れるわけにはいかなかったのでしょう。
「大丈夫だ、大丈夫だ、オレ様は鉄人なんだ!」と、呪文を唱えるかのように、必死に自分に言い聞かせていました。
ですが、鉄人のはずの隊長でしたが、電気クラゲに全身を刺されたかのように、全身をピクピクと揺らし、魂を抜かれた亡霊のようになってしまいました。
・・・それを見たタケが、フラダンスをしながら、あわてて駆け寄ったのです。
「隊長、でーじょうぶがんす、でーじょうぶがんす・・・アンタは出来る子なんです。頑張って、根性を見せてくだせー・・・ふんれー・ふんれー・たーいーちょー・・・!ふんれー・ふんれー・たー・いー・ちょーーー・・・!」」
タケの必死の応援にも関わらず、彼はヒザをカックン・カックンと揺らしながら、完全に別の世界にイッテしまったような状態でした。
!!!!!!!
そして、私も遅まきながら、一歩前に出たのです。
「隊長・・・愛を込めてナッツ蹴りを行きまーーーす・・・!」
気合を入れ、ターゲットに向かって、スピード重視の前蹴りを放ちました。
「グワーン・ギンギーーーン・・・!」
すると、2個の球が複雑にぶつかりあい、不協和音を奏でたのです。
体重の乗ったナイスキック・・・たしかな手ごたえを感じました。
なんと、隊長の体は3メートルほど後方に、ガックーーンとブッ飛んで行ったのです。
「隊長、でーじょうぶでがんすか、隊長、でーじょうぶでがんすか・・・!」
ハツが、フラダンスをしながら、慌てて駆け寄りました。
「ぎゃーーー、とっとっとーーーーん・とんでんイナリ山・・・・・!」
突然、ハツの踊りがルンバに変わり、まるでムンクの叫び声のような大絶叫とともに卒倒してしまったのです。
上からのぞきこむと、隊長は口からモクモクと泡を吹き、黒目がマッハで回転していました。
こんなおぞましい光景を見たのは、生まれて初めてでした。
!!!!!!!!!!
「おい、なんかヘンじゃねーかー・・・!」
「そんだ、そんだ、なんかヘンだぞー・・・」
真上からのぞき込んだタケとトラオが、口ぐちに叫びました。
なんと、隊長の股の間が、ビッグバンのように異常に膨張していたのです、不思議そうな顔をして、タケがそっと近寄り、ズボンを慎重に引き下げたのです。
「おい、おい、おい、おーーーーい・・・これは、すんげーぞ、小玉スイカなんてモンじゃねーぞ、大玉スイカだぞー・・・いんやー、いんやー、ウルトラ・スイカだぞー・・・!」
隊長の股の間に、ビッグなウオーターメロンが2個・・・ブラ下がっていたのです。
「ほんとだ、ほんとだ、すんげーな・・・ホンモノダ、ホンモノだ・・・!」
トラオも目を丸くして、驚嘆の声を上げました。
「こんなことがあるんだなー、めずらしいモノを見させてもらったぜー・・・!」
そう言いながら、タケが大玉スイカをツンツンしたのです。
「おい、みんな、さわってみなよー、すんげーぜー・・・!」
私も加わり、トラオといっしょにツンツンしたのです。
ツン・ツン・ツン!・・・ツン・ツン・ツン!・・・ツン・ツン・ツン!
まるで、コンニャクのような感覚でした。
!!!!!!!!
やがて、ツンツンしていたタケが何故か笑い出したのです。
それにつられて、トラオも笑い出し・・・・・不謹慎だと思いつつも、私も笑をこらえらきれずに笑い出してしまいました。
三人とも、顔を見合わせるたびに、大笑をしてしまったのです。
・・・・・もはや、誰も止めることは出来ませんでした。
その時でした。
タケがツン・ツン・ツーーーンと、立ち上がり、スカシた顔で宣言したのです。
「オレは、隊長について行くぜー・・・隊長は偉大だぜ、イナリ山のアイドルだぜ、浅間山大噴火だぜーーー・・・!」
それに刺激されて、私も立ち上がりました。
「オレだって、隊長について行くぜー・・・隊長はウルトラだぜー、イケメンだぜー、ミスター・イナリ山だぜー・・・!」
そして、トラオも立ち上がりました。
「オレだって、隊長について行くぜー・・・隊長は正直屋ヒッチコックだぜー、グレートだぜー、将来のイナリ山の隣保班長だかんなー・・・みんな、拝んじゃうぜー、みんな、拝んじゃうぜー・・・!」
トラオの言葉に従って・・・静かに・・・そしておごそかに・・・全員が両手を合わせ・・・深々とヒレ伏したのです。
P・S
ですが、なかなか笑いを止めることは出来ませんでした。
しばらくの間、秘密基地の中に、三人の笑い声が響いていたのです。
隊長は、相変わらず口からアワをモクモクと吹き上げ、フクロウのように黒目を高速で回転させていました。
そして、その横で、ハツが失神しながら、無意識のうちにフラダンスを踊っていたのです。
バンビー  !!!
来月号に、つ・づ・く  ♪ ♪ ♪
【語り手】アーノルド♥ハカチェ∽ソクラテス