第2章 アーノルド♡ハカチェ∞ソクラテスの追想(113)
小学生コースを余裕でクリアーしたハツは、威風堂々と胸を張り、中学生コースへと進んで行った。
彼は、深々と一礼をして2本のロープを掴み、ゆっくりと股の間を通した。
「ウンチングスタイル基本2の型」を完璧なまでに決め、ヨシヨシと言いながらロープを前後に動かし始めたのだ。
「イイー・・・これは・イイー・・・ゴク・ゴク・イイー・・・ゴクラクだんすー・・・!
痒い所に手が届くとは、このことだんべー・・・!」
ハツは、あまりの快感に、白目をむいて失神してしまった。
「ありがとう、ベンジャミン・・・こんな素晴らしい空間を作ってくれたCEOにただただ感謝でんすー・・・!」
訳の分からない言葉を発しながら、彼は竜宮城へとタイムスリップしていた。
そこでは、霞みの彼方に乙姫の姿に変身をした愛しのカズコが、おいでおいでと手招きをしている。
「カズコさーん・カズコさーーん・・・シンビレル・・・シンビレル・・・シンビレまーす
これは最強のグッズだんすー・・・!」
大海の波に揺られながら、しばしの間、二人はスピニングワルツを踊っていた。
!!!!!!!!!!!!
続いて、高校生コースへのチャレンジが始まった。
ハツは、さりげなく3本のロープを掴み、深く深呼吸をした。
「急いては事を仕損じる・・・ここは慎重に行こうぜ・・・!」
彼は頑固なまでに、基本に忠実だった。
「ウンチングスタイル基本3の型」をビシッと決め、やや黄ばんだ和式の便器に着座したのである。
ヨーシ・ヨーシ・ヨーシという呪文を唱え、はやる気持ちを抑えていた。
そして、石橋を叩いて渡るかのように、ゆっくりと前後にロープを張り、あたかも、SL列車のように、最初は優しく、そして力強く、しかも豪快に、シゴキ運動を始めたのだ。
「いける・いける・いけるぞー・・・オレは勇者になるぞー・・・今度こそ、真の勇者になるんだ・・・オレこそが真の勇者だんすー・・・!」
シュ・シュ・シュ・シュと、機関車の車輪の動きに合わせて、前後運動が始まった。
「イイー・イイー・イイーだんべー・・・いけるぞー・ゾウさーーん・・・!」
だが、マックスに達した瞬間、臀部に違和感が走った。
「ウン・・・ウン・・・ウン・・・?」
やがてそれは、痒みと痛みに変わり、SL列車は緊急停車した。
「これは、どういう意味・・・どういう事なんだんべー・・・!」
問題を解決すべく、ハツは左手で患部をそっとナゾってみた。
「こ・こ・こ・これはー・・・これは何だー・これは何なんだー・・・?」
そこに、ロープのササクレが束になって刺さっていたのだ。
「おい・おい・おーい・・・どうなっているんだーい・・・でもよー・・・オレは・・・負けねーぞー・オレは負けねーぞー・・・ここで止めたら、今までの精進がムダになっちまう。
こう見えても、オレは諦めの悪い男なんだ・・・最後まで、やってやろーじゃねーすかー・・・ナメんじゃねーぞー・・・!」
独り言をつぶやきながら、ハツは便臭のする左手をペロリとナメた。
そして、怒りの感情を思いっきりぶつけながら、ササクレの束を一気に引き抜き、ふたたび、所定の位置に力強く立ち上がったのだ。
両手で韻を切り、風林火山のごとく、静かにファイティングポーズを取った。
困難に立ち向かい、戦う意思を示す鶴のポーズを、バシッと決めたのだ。
「ハ・ハ・ハ・ハ・ハ・ハ・ハ・・・ハハ・のんき・・・パパ・短気・・・!」
豪快に笑い飛ばしたが、その頬には一筋の涙が流れていた。
「オレは一皮も二皮も剝けてやるぞー・・・ビックな男になってやるんだー・・・待っててください、カズコさーん・・・!」
板塀の隙間から漏れる光に向かって、ハツは新たなる闘志をフツフツと燃やしていたが、あまりの痒みと痛みで、臀部に力が入らなかった。
今、まさに、ササクレ攻撃の恐ろしさを、ひしひしと感じていたのである。
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来月号に、つ・づ・く ♪ ♪ ♪
☆バンビー
【語り手】アーノルド♥ハカチェ∽ソクラテス