第2章 アーノルド♡ハカチェ∞ソクラテスの追想(112)
「ウオー・ウオー・ウオー・・・ウオー・ウオー・ウオー・・・!」
まるでヒグマの唸り声のような叫び声とともに、ベンジャミンの戸を突き破ってチャレンジャーが飛び出してきた。
右手に2本の荒縄を握りしめ、苦悶の表情を浮かべながら、地面をのたうち回っている。
ふと顔を上げた瞬間、老人と目が合った。
彼は、息絶え絶えとなりながらも、この状況をなんとか伝えようとハツに語り掛けてきたのである。
「あんちゃん・・・あんちゃんよー・・・あんたも挑戦者かい・・・止めといた方がいいぜー・・・素人さんには、無理だよー・・・!」
ハツは老人に駆け寄り、そっと手を差し伸べた。
「ありがとうよー・・・笑っちゃうよなー・・・中学生コースでこのざまーさー・・・あんちゃん・・・くれぐれも、油断は禁物だぜー・・・!」
「わかりました・・・後は、ゆっくり休んでください・・・!」
二人は、ただじっと見つめ合いながら、互いの健闘を祈った。
「あんちゃん・・・あんたに託すよ・・・勇者の称号をゲットしてくんない・・・!」
老人は、ケツを左手で押さえ、静かにピースサインを送りながら去って行った。
・・・周囲には、ほのかに便臭が漂っていた。
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ハツは今、改めて心に誓った。
「オレはやる・・・オレがやるんだ・・・オレがやってやるんだー・・・!」
魂の雄叫びが、ニューブクロ荘の空にコダマした。
・・・そして・・・彼は一歩前進して、ベンジャミンに深々と一礼をし、ドアノブにそっと手をかけて、にぎにぎしく手前に開いたのである。
一瞬、全身が黄金のヒカリに包まれ、アドレナリンが体の隅々までドキンドキンと循環しているのが解った。
多量のドーパミンが脳ミソに充填され、雲の上を歩いているかのような幸せを感じていたのである。
「ウ・ヒョ・ヒョ・ヒョ・ヒョ・・・やっと、この場所に立てたぞ・・・オレは21世紀のチャレンジャーだ・・・絶対、勇者の称号をゲットするぜー・・・!」
ハツは武者震いをしながら、ベンジャミンに入室したのである。
!!!!!!!!!!!!
中は一畳程の広さで、中央の壁に汚い字で書いた説明文が貼ってあった。
1 小学生コースは1本
2 中学生コースは2本
3 高校生コースは3本
4 大学生コースは4本
5 大学院コースは5本
見事に大学院コースを修了した者には、ニューブクロ荘より勇者の称号を与える。
最後に「全日本ベンジャミン協会 CEO ベンジャミン権之進」と、
一回り大きい字で書いてあった。
正直屋の恐怖便所を思い出し、このシンプル過ぎる文章は、明らかに権さんのものであるとハツは確信した。
「さあ、一対一の真剣勝負だ・・・オイラは負けねえぞー・・・負けねーぞー・・・!」
彼は、前のめりになった自分を少し落ち着かせるために、両手でパンパンと頬を叩いた。
そして、段ボール箱に入っている直径5ミリ程の荒縄を、厳かに取り出したのである。
・・・・・先ずは、規定のウンチングスタイルを、正確に決めた。
慎重に、そして華麗に・・・イチ・ニー・・・イチ・ニー・・・イチ・ニー・・・と、前後にシゴキ始めたのである。
「この感触、この快いシゴキ・・・すばらしいー・・・やみ付きになるぜー・・・イチ・ニー・・・イチ・ニー・・・イチ・ニー・・・!」
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簡単に小学生コースをクリアーしたハツは、箱から2本目の荒縄を取り出し、威風堂々と中学生コースへと向かっていったのである。
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来月号に、つ・づ・く ♪ ♪ ♪
☆バンビー
【語り手】アーノルド♥ハカチェ∽ソクラテス