第2章 アーノルド♡ハカチェ∞ソクラテスの追想(1)
夏の夜空に鮮やかに輝く天の川銀河。
1000億個もの星が、まるで宝石をちりばめたように天空で美しく輝く。
直径はおよそ10万光年、ほんとうに気の遠くなるような距離だ。
しかも、人間が住む太陽系は銀河の端に位置し、中心核までは28000光年もある。
我々は、夏は沢山の星が存在する天の川銀河の内側を、冬は星の数が少ない外側を見ている。
もしも、この気の遠くなるような広大な銀河で迷子になってしまったなら、はたして帰還することは出来るのだろうか。
青く輝く地球に、たどり着くことができるのだろうか。
右往左往したあげく、もがき苦しみ、失意のうちに人生の終焉を迎えなくてはならないのだろうか。
きっと、誰かに探してくれと、祈らずにはいられないだろう。
宇宙は、多くの銀河により構成されているという。
かろうじて肉眼で見えるものは、北半球ではアンドロメダ銀河、南半球では大マゼラン星雲、小マゼラン星雲だ。
はたして、宇宙には、どれほどの数の銀河が存在するのだろうか。
人智を超えた、とほうもない数の銀河が存在するのだろうか。
そう考えると、一つくらいは地球に似た衛星が存在すると考えてもおかしくはないだろう。
いや、10個、100個、1000個以上あるかもしれない。
夏の大三角形を見て、あらたなるロマンを感じるのは私だけだろうか。
!!!!!!!!!!
キナサたちに会ったのは、実は3年前の夏のことだった。
その夜、わたしはベガの方向に望遠鏡を向けていた。
晴天で、星の観察には最適な夜であったような気がする。
静寂な中、ベガからアルタイルの方向へとレンズを切り替えたときのことだった。
オリオン座の方向から、一瞬、火の粉が空に舞ったのだ。
流れ星ではないのかと思い、あわてて空を見上げると、青と赤の球体が、激しくぶつかり合っているではないか。
互いに、相手を圧倒するかのように、何度も激突を繰り返しては、火の粉を飛ばしていた。
広い夜空をジグザグに、楕円状に、ランダムに、ものすごいスピードで動いていた。
まるで、大空間をワープしているかのような感覚だった。
両者は相譲らず、その戦いは5分くらい続いたと思う。
そして、突然、天空に、黄色、緑色、桃色の球体が出現したのだ。
静かに赤の球体が合流して、4個になった。
各々の球体は足並みをそろえるかのように、ゆっくりと空中に一直線にならび、少しずつ青の球体との間合いを詰めていった。
「危ない、このままではやられてしまうぞ!」
青色の味方をするわけではなかったが、無意識のうちに、私はレーザー光を空に発射して、攪乱しようとしたのだ。
しかし、それは無駄だった。
取り囲んだ4個の球体は、別に気にすることもなく、ますます青の球体との距離をつめていったのだ。
私は、あせってレーザー光の照度をマックスにした。
その時だった。
今まで見たこともない強烈な光が、4個の球体から発射されたのだ。
青の球体は、またたくまに巨大な光に飲み込まれてしまった。
「早く逃げろ・・・早く逃げろ・・・!」
私は、思わず叫んでしまった。
「このままでは、消滅してしまう・・・・・時間がないぞー!」
青の球体から、沢山の火の粉が流れ落ちてきた。
融解点を超えた球体は,徐々に形状がゆがんできたのだ。
「ド・ド・ド・ド・・・・・グワーン!!」
諦めかけた瞬間、すべての球体を囲むかのような大爆発が起きたのだ。
「ア・ア・ア・ア・・・・ア・ア・ア・・・あんころもちたべたーい!!!」
私は強烈な爆風に吹き飛ばされ、壁板に頭からメリ込んでしまった。
そして、恥ずかしながら、恐怖で失禁をしてしまい、ズボンがビショビショになってしまつたのだ。
あまりに突然の出来事に、体の震えは、しばらくの間、おさまらなかった。
来月号に、つ・づ・く・・・♪♪♪
【語り手】アーノルド♥ハカチェ∽ソクラテス