第2章 アーノルド♡ハカチェ∞ソクラテスの追想(6)
新年、あけましておめでとうございます。
本年も、よろしくお願い申し上げます。
!!!!!!!!
さて、皆さんは、磁北と真北の違いを、ご存知でしょうか?
真北は、北極点、つまり地球の自転軸で北緯90°を指す方位です。
磁北は方位磁石がN極を指す方向で、現在の磁北の極点はカナダの北、北緯78°、西経98°のあたりに存在します。
ところが、磁北点は年代ごとに徐々にズレているようで、また、磁北と真北とのズレ、つまり磁気偏角は、日本各地で差があります。
那覇で4.1°、札幌で9.2°で、およそ5°の差があります。
ようするに、地球上の磁力線は、すべてが磁極方向へ一直線に向いているわけではなく西向き、東向き、地域によりバラバラなのです。
強引ですが、これを人の性格に置き換えてみると、どうでしょうか。
真北に向いている人や、磁北に向いている人・・・はたまた、とんでもない方向に向いている人が存在します。
磁気偏角ほどの範囲なら許容されるのでしょうが、これを超えてしまうと生活に支障をきたすようになるかもしれません。
しかし・・・・・・これは、すべて個性なのです。
だから、ズレているからと言って、心配する必要はありません。
何故なら、年代とともに磁北点は徐々に変化して行くからです。
今と未来とでは、人間社会や考え方に、大きなズレが生じているかも知れないからです。
自然も、宇宙も不変というもことはありえません。
現に、一昔前の常識が非常識になっていることも沢山あります。
だから、自分を信じて・・・勇気を持って、生きて行きましょう。
!!!!!!!
ドアを叩いていた二人は、ちょっと変わった風貌をしていた。
一人は髪の毛を5つに編んだオサゲで、まん丸顔・・・まるで「お月様」のようだった。
もう一人は、髪の毛を五分刈りした・・・どちらかというと・・・少年に見えた。
おもしろいことに、両方とも見たことのないようなジャンプスーツを着用して、同様に丸顔だった。
ただ、目だけはとても大きくて、オサゲの方は透きとおるような薄いオレンジ、五分刈りの方は、果てしなく透明なマリンブルーの瞳をしていた。
どこかで見たような眼球だったが、遠い記憶なのか、思い出せなかった。
・・・・・私は、通販のジャパネット・ハゲタカで購入したダンベルを使用して、思いっきり筋肉をパンプアップさせ、二人の挑戦を迎え撃っていたのだ。
胸筋の厚みをアピールするサイドチェスト、腹筋と足を強調するアブドミラル&サイ、上腕三頭筋を強調するサイドトライセプス、僧帽筋や肩、腕、胸の大きさを強調するモストマスキュラー・・・・・・・!
突然、五分刈りが膝をガクンと折り、ポージングを中断してしまった。
同時に、消衰しきったように肩を丸めて、苦しそうに呼吸をし始めたのだ。
「キナサお姉様、大丈夫ですか?」
オサゲが、五分刈りを心配そうに抱きかかえた
「ハネちゃん…大丈夫だよ・・・気にしなくてもいいよ。」
その声を聞いて、五分刈りは女性なんだと、始めて認識した。
ハネちゃんと呼ばれた少女がふいに振り向き、私を睨んだ。
「コラー、いつまで待たせておく気だー、キナサお姉様に失礼だぞー!」
そして、いきなり、なぐりかかって来たのだ。
「頭(ず)が高ーい、頭が高ーい、控えろー、このハゲ頭、ポンポコポーン!」
私は強い力で頭を押さえられ、地面にひれ伏した。
少女の割には、すごい怪力だった。
おかげで、頭がデコボコになってしまったのだ。
「・・・・・な・な・な・何をするーんだー・・・この、おかちメンコー!」
苦し紛れに、罵声を浴びせてやった。
「おかちメンコー・・・ン・ン・ン・・・ハゲ頭が、何か叫んでいるダンス!」
オサゲは、不思議そうに私を見つめていた。
「おまえの父ちゃん、デベソー!・・・おおデベソー!」
相変わらず、オサゲはキョトンと首をかしげて私を見つめているだけで、なんの反応もなかった。
「何んダンスか、その・・・お・お・デ・ベ・ソ・って?」
思い知らせてやろうと、私はシャツを思いっきりめくり上げて、自慢げに説明してやった。
「ガ・ハ・ハ・ハ・ハ・ハ・・・いいか、これが、おおデベソじゃ、見よ、偉大なるおおデベソじゃー、わかったかー・・・ガ・ハ・ハ・ハ・ハ・ハ・・・!」
勝ち誇ったように、私は腹の底から笑った。
すると、オサゲと五分刈りが近寄ってきて、デベソを注意深く観察し始めたのだ。
「これが・お・お・デ・ベ・ソ・・・・・・・・スゴイね、ハネちゃん!」
「キナサお姉様・・・これが、おおデベソだんすね・・・おみごとダンス!」
二人は、お互いに顔を見合わせて、感心したように何度もうなずいた。
「・・・こちょ・こちょ・こちょ・・・こちょ・こちょ・こちょ!」
急に、オサゲがデベソにタッチした。
「う・ひょ・ひょ・ひょ・ひょ・・・う・ひょ・ひょ・ひょ・ひょ・ひょ・・こらこら・・・触るな、触るな!!」
「・・・こちょ・こちょ・こちょ・・・・こちょ・こちょ・こちょ!」
「う・ひょ・ひょ・ひょ・ひょ・・・う・ひょ・ひょ・ひょ・ひょ・ひょ・・こらこら・・・触るな、触るな!!」
「・・・こちょ・こちょ・こちょ・・・・・・ガブッ!」
「ん・・・ギャー!!!」
いきなりオサゲが,咬みついてきたのだ。
強烈な痛みに、私は思わず失神してしまった。
来月号に、つ・づ・く・・・♪♪♪
【語り手】アーノルド♥ハカチェ∽ソクラテス