第2章 アーノルド♡ハカチェ∞ソクラテスの追想(16)
「ナマムギ・ナマゴメ・ハゲタマゴ・・・ナマムギ・ナマゴメ・ハゲタマゴ・・・!!」
突然、私の耳元で三編みオサゲのコハネが語りかけてきた。
そんなことに係っているほど暇じゃないのだと無視していると、だんだんと声は大きくなり、同時に早口になった。
「ナマムギ・ナマゴメ・ハゲタマゴ・・・ナマムギ・ナマゴメ・ハゲタマゴ・・・!!」
なおも無視していると、私の耳たぶを強く引っ張り、同じ言葉を連発した。
「こらー、いいかげんにセンベイー・・・たんと、聞こえておるぞー、ぞーさん・ぞーさん、お鼻が長いのねー・・・!」
私は、ムッとして彼女を睨みつけた。
一瞬、沈黙の時間が流れた・・・が・・・やがて、ネコのピーに向かって、コハネが呪文のような言葉を発した。
「・・・&・$・%・%・%・“・!・!・&・%・$・・・・!!」
すると、赤い舌がニュルっと延びて、私の頭にからんできたのだ。
「オイ・オイ・・・気持ワリーぞ、ぞーさんぞーさん、お鼻が長いのねー・・・!!」
その舌は、ザラザラとしていて生温かかった。
「ホイ、たこー・・・!!」
「ん・・・・・・・タコじゃないぞー、ぞーさんぞーさん・・・!」
「ホイ、たこ・・・!!」
「ん・・・・・・タコじゃないぞー、ぞーさん、ぞーさん・・・!」
「ホイ、たこ・・・!!」
「ん・・・・・・タコじゃないぞー、ぞーさん、ぞーさん・・・!」
同じ言葉の繰り返しに、うんざりした。
なんて失礼な奴だと、私は激怒した・・・が、相手は私以上に怒っているようだった。
「プン・プン・プン・・・このイカリ、何だか解らねーようだなー!!」
「そんなの解りませーん・・・せーんべい屋さーん・・・!!」
めんどうくさい奴だと、のらりくらりとかわしていると、コハネは唇を尖らせて強い口調でふたたび呪文を唱え始めた。
「・・・・&・$・%・%・%・“・!・!・&・%・$・・・・!!」
すると、またネコのピーの舌がニュルニュルと伸びて来て、私の頭にからまり、ネジを巻くように締め付け始めたのだ。
「こら、やめろー、やめろー・・・ヤーレン・ソーラン・ソーラン・ソーラン・・・ハイ・ハイ・・・ハイタッチ・・・!!」
「まだ、おふざけをしているダンスか・・・プン・プン・プン・・・!!」
何故、怒っているのか、私には理解できなかったのだ。
「いつまで、おとぼけしているダンスか・・・?」
「とぼけるもなにも、訳がわからんぞー・・・ぞーさん・ぞーさん!!」
ほんとうに、チンプン・カンプンだったのだ。
「んじゃー聞くが・・・何故、キナサお姉さまの膝に乗っていたダンスか、何故ダンスかー・・・?」
この問いかけも、意味不明のことだった、
「何故って・・・何故でしょうねー・・・私にもわかりませーん・・・センベイ屋さーん、ジャイアント牛場さーん・・・?」
そうなのだ・・・気が付いたらキナサの膝の上にいただけなのだ。
別に、激怒されるほどのことではないはずなのだが?
「シラを切るダンスな・・・素直に白状したほうが身のためダンス・・・あの時・・・キナサお姉さまは、自分が死ぬかもしれないのに・・・みんなのために残り少ないマリンブルーエナジーを使われたダンス・・・可哀想な、キナサお姉さま・・・・・あーそれなのに、それなのに・・・・・このケダモノー・ハゲモノー・・・!!」
はたして、膝枕くらいのことが、ケダモノ・ハゲモノ呼ばわりされるようなことに値することなのか・・・合点のいかないところだった。
「何を言っているのかわからんぞー・・・ぞーさん・ぞーさん・お雑煮を食べたいぞー、ぞーさん・ぞーさん・・・!!」
三つ編みのコハネが、下を向いてシクシクと泣きだした。
「いい加減にせんかい・・・こんなこと・・・泣くほどの事かー・・・?」
彼女は唇を噛んで、私を睨みつけていた。
その時だった。
さきほどまで戦っていたオカッパ頭が、なんと立ち上がったのだ。
「スェンパーイ、スェンパーイ・・・!!」
「あー、ココちゃん、ココちゃん・・・気がついたダンスねー、スペースビーの毒が消えたダンスね・・・心配していたダンス、会いたかったダンス!!」
二人は、手を取り合って大喜びをしていた。
「スェンパーイ・・・うぇーん・うぇーん・ウエンツ英一・・・キナサお姉さまのマリンブルーエナジーで助かりました・・・スェンパーイ、ココちゃん、会いたかったでスィーツ・・・!!」
「ハネちゃんだって,会いたかったダンスよー・・・!!」
「ココちゃんだって、もっと会いたかったでスィーツ・・・!!」
「ハネちゃんだって、もっと・もっと、会いたかったダンス・・・!!」
「ココちゃんだって,もっと・もっと・もっと、会いたかったでスィーツー・・・!!」
「ハネちゃんだって、もっと・もっと・もっと・もっと、会いたかったダンス・・・!!」
「ココちゃんだって、もっと・もっと・もっと・もっと・もっと、会いたかったでスィーツ・・・!!」
延々と続く会話に、私はたんと飽きていた。
「こらー、いいかげんにすろー、いつまで同じことをやっているんだー・・・・おしりベンベンしちゃうぞー、ぞーさん・ぞーさん・・・!」
すると、二人の強い目線がこちらに向いたのだ。
「ココちゃん、このケダモノを退治するダンス・・・!!」
「OKスェンパーイ、退治しまスィーツ・・・!!」
二人は、意気投合するかのように、互いにクロスした。
「スェンパーイ・・・ラブラブビームアタックですね・・・?」
「そうダンス・・・ココちゃん、ラブラブビームアタックダンスよー・・・!!」
何かが起こりそうな予感がして、私は一瞬身構えたのだ。
「おい、こら・・・やめろ、やめろ・・・何をする気だ・・・ムダな抵抗は、やめましょうねー・・・暴力反対キャンペーン、おしりベンベン・・・!!」
二人は、私の言うことなどには、少しも耳を貸さなかった。
その時だった・・・・互いにアイコンタクトをした瞬間・・・・空間がミシミシと歪んだのだ。
「夢戦士わかくさレンジャードリーム、いかれたオヤジを教育しまーす、ラブラブビームアタック・ドッカーン・・・!」
「ウワー、助けてくれー!!!」
強烈な波動を受けて、私は一直線に、大空高く飛ばされてしまった。
「ハカチェが、みごとに赤城山までブッ飛んで行ったダンス・・・!!」
「ケダモノ・ハゲモノ退治ができました、めでたし、めでたし、めでたしだスィーツ・・・!!」
二人は、手を取り合って、しばらくの間、喜んでいた。
来月号「に、つ・づ・く  ♪ ♪ ♪
☆バンビー。
【語り手】アーノルド♥ハカチェ∽ソクラテス