第2章 アーノルド♡ハカチェ∞ソクラテスの追想(29)
「ウ・ヒョ・ヒョ・ヒョ・ヒョーーーーーーーン!・・・・・・ウ・ヒョ・ヒョ・ヒョ・ヒョーーーーーン!」
再会橋の上では、杉緒杉男が豪快に笑い飛ばしていた。
「ウ・ヒョ・ヒョ・ヒョーーーーーーーン・・・・・ウ・ヒョ・ヒョ・ヒョ・ヒョーーーーーーン・・・・ン・・・ウイーーーーン・ウイーーーーーン?」
彼は調子に乗り過ぎて、あまりにも大口で笑ったために、一瞬、アゴをはずしてしまったのだ。
「お・お・お・お・・・おっとっとーーーう・・・ウイーーーン・・・ウイーーーン・・・ウイーーーーーン!」
杉緒杉男は、両手を頬に当てて器用にセルフ整骨をした。
そして、何かを探すかのように桃の木川をのぞいたのだ。
「おい、そろそろ出てくるんじゃねーのか・・・そろそろ出てくるんじゃねーのか・・・カ・カ・カ・カ―――――カニのおっかさーーーーーーん・・・・
ケ・ケ・ケ・コ・コ・コ・コンニチ・ワン・ワン・ワーーーーーン・・・・・?
ウ・ウ・ウ・ウイーーーン・ウイーーーーン・・・ン・・・ン!」
またしても大口で笑い飛ばしたため、今度は完全に、アゴの関節をはずしてしまったのだ。
「あ・あ・あ・あ・&・%・#・#・&・%・&・#・‘@・・・・・・・!」
アントニオ・エノキのような巨大なアゴから、大量のヨダレが・・・まだ新調したばかりであろう白のアキレスの上に、ダラダラと落下していたのだ。
彼は、必死になってセルフ整骨を試みたのだが・・・ウイーーン・ウイーーン・ガックーーーン・・・ピッタンコ・ガンガン・・・なんだか、非対称ラジアルタイヤみたいなアゴになってしまっていた。
!!!!!!!!
杉緒杉男が、大量のヨダレを流しながら必死に待ち望んでいたのは・・・なんと・なんと・クリキントン・・・イナリ山中3年のキクさんだったのだ。
一か月前に、簡単にシメられてしまった屈辱の事件・・・・・あのリベンジにやってきたのだ。
この日のために、彼は赤城山の大猿渓谷にあるクマの穴で、怒りの半日修行を敢行してきたのだ。
それは、過酷で・孤独で・猛烈な・・・一言では決して表現できない修行だった。
巨大な一塁ベースのような顔を紅潮させて、機関車トーマスのように鼻から蒸気を吹き出しながら、大猿渓谷のクマの穴の中で必死に、しかも半日だけ、トレーニングを積んだのである。
!!!!!!!!!
・・・・・やがて橋脚を這い上がって、髪の毛を振り乱したキクさんが姿を現した。
「来たな・・・クモ女・・・待つてたぜ・・・ウ・ヒョ・ヒョ・ヒョ・・・・ウイーーーーン・ウイーーーーン・ウイーーーーーン・・・!」
杉緒杉男は、少しハイになっていた。
キクさんを誘き出すために、松尾松男を利用したのだ。
「思ったとおりだ・・・あのスケベー野郎をダシにすれば、クモ女が現れるとおもったんさーね・・・ウ・ヒョ・ヒョ・ヒョ・ヒョーーーン・・・ウイーーーン・ウイーーーン・ウイーーーーーン・飛んで火にいる夏の虫だんべ・・・ウイーーーーウイーーーー・ウイーーーーーン・・・ガックン・・・!」
お調子者の杉緒杉男は、またしてもアゴをはずしてしまった。
それを尻目に、キクさんはゆっくりと立ち上がり、髪の毛を後ろに束ねたのだ。
太陽の光を浴びて、何故か神々しくみえたのだ。
「ヘイ、ベースマン・・・こんなおかしな事をして・・・頭がイカレてるんじゃねーのか・・・おもしれー顔をしてさー・・・!」
おもしれー顔と言われて彼は憤慨したようで、機関車トーマスのように鼻をピーーピーーピーーと、3回も鳴らした。
「・な・な・何を言ってるんだ、このクモ女めー・・・この前は油断したが、今日は違うぜ・・・ウ・ヒョ・ヒョ・ヒョ・ヒョーーーーーーン・・・!」
杉緒杉男は、ゴン・ゴン・ゴーン・・・タンスにゴーーーンと、すばやくパンチを4発くりだしたのだ。
怒りの半日修行の成果だろう・・・あきらかに、パンチのキレは以前とは違っていた。
彼のパンチが、シュ・シュ・シュと音をたてながら、キクさんの頬をかすめたのだ。
「やるじゃねーか、ベースマンよー・・・少しはマシになったんじゃねーのかー!」
その時だった。
「んじゃ、次はこれだ・・・どうだんべかなー!」
すかさず杉緒杉男が、風車のような回し蹴りを連続で繰り出したのだ。
キクさんは簡単に橋の欄干に追い詰められ、鋭いケリが彼女の左側頭部にバシッと命中したのだ。
重いキックだった。
一瞬、彼女のコメカミから、タラリと鮮血が流れた。
キクさんは、左手の人差し指でキズをなぞり、静かに口に含んだ。
「見なおしたぜ、ベースマンよ・・・前よりも、少しはマシになったか!」
そう言った瞬間、彼女の目がリンリン・ランラン・カンカンと輝きはじめたのだ。
あまりの眼光の鋭さに恐怖を覚えた杉緒杉男は、無意識のうちに一歩,後退してしまっていた。
来月号に、つ・づ・く  ♪ ♪ ♪
☆バンビー。  
【語り手】アーノルド♥ハカチェ∽ソクラテス