第2章 アーノルド♡ハカチェ∞ソクラテスの追想(44)
そんなわけで、正直屋の売れ残りである果物を大量にあたえることになったのだ。
だが、クメは、無言のまま食いまくり、満腹感には終わりがなかった。
まさに、モンスター級のフードファイターであったのだ。
大量に用意した果物が、あれよあれよという間に消えて行った。
全員が、だらしなく口をポカーーーーンと開けて、その光景をながめていたのだが・・・・・やがて、いつまでも口を割らないクメに、団員たちはバンザイをしてしまった。
チミー隊長もシノビに対して興味が失せたようで・・・・・その後、どういうわけか、クメの担当は私になってしまったのだ。
「そうだな・・・クメの係は、ハカチェでいいだんべー・・・どうせ、腹をこわすからなー・・・助けてやれやー・・・!」
「そうだんべなー、ゲリをするのは、時間の問題だんべ・・・すぐに、ハカチェの出番だんべなー・・・!」
隊長もハツも、そっけなかった。
しかし、クメの食欲は、一向に衰えなかったし・・・むしろ、ペースが上がっているように思えたのだ。
私が、懸命に職質をかけても、ニヤニヤと笑うだけで、決して口を割らなかったのだ。
・・・・・そして・・・全員が予想したように、強烈な腹痛におそわれて、牛小屋の床をのたうちまわった。
「やっぱしなー・・・だから言ったんべなー・・・このプタ野郎めー・・・!」
「いいかげん、止めとけばいいのに・・・・・食い方がきったねんだよ、このー・・・タプタプ野郎めー・・・!」
隊長とハツが、吐き捨てるように、交互につぶやいた。
・・・しかし・・・・・私は思わず、心の中で大笑をしてしまったのだ。
隊長ならまだしも、ハツは年がら年中、正直屋の売れ残りの果物を食い漁っていたからだ。
彼は、一度ならず、五度、六度と腹痛を起こしていたのだ。
・・・私は早速、クメに富山の薬「クマノーイ一番」を投与した。
・・・数分後・・・面白い事に・・・・・クメはすぐに回復して、猛烈ないきよいでガッツキ始めたのだ。
食物に対する鬼気せまる執念は、まさに無限大だったのであるーーーーー!
!!!!!!!!
クメの大食漢に、とうとう私も呆れてしまい、そのうち気に留めることもなくなった・・・が・・・この件の以降、何故か金魚のフンのように、後ろについて来るようになっていたのだ。
「おい、あんまりくっつくんじゃねー・・・気持ち悪いだんべなー・・・いいかげんにしろよー・・・離れろー、おたんこなすー・・・!」
私が怒ると、クメはネコのようにニヤン・ニヤンと笑いながら距離を5メートル程あけたが、すぐに背後霊のようにピッタリと接近してきたのだ。
チビの後にデカがくっついて歩くので、周りからは好奇の目で見られるようになった・・・が・・・秘密基地の中では、いつしか日常の風景として、すっかり溶け込んでしまった。
こんなわけで、クメは少年ホースの団員に、なんとなく加入していたのだった。
!!!!!!!
P.S ・・・だが・・・私にはどうしても解けないナゾがあったのだ。
それは、クメが私の髪の毛を掻き分けていた時、頭の上に水滴が落ちてきたような気がしたのだ。
あれは・・・もしかして・・・もしかして・・・クメの涙だったのではないだろうが?
ならば、何故、クメは涙を流したのだろうか・・・・・?
あの涙の意味は・・・・・いったい何だったのだろうか・・・・?
そして・・・クメは何故、笑うだけで一言も発しないのだろうか・・・?
何か、伝えたいことがあるのではないだろうか・・・?
・・・やがて・・・その疑問が・・・解ける日が・・・来る・の・だ・が・・・!
☆バンビー。
来月号に、つ・づ・く ♪ ♪ ♪
【語り手】アーノルド♥ハカチェ∽ソクラテス