第2章 アーノルド♡ハカチェ∞ソクラテスの追想(70)
「チャンチキおけさ」は、あしながおじさん・ストーリーを盛り上げるには充分な効果を発揮した。
ハツの歌声は団員たちの心をガッチリとワシ掴みにして、いつしか「岩壁の母」のような、お涙ちょうだい物語になっていったのだ。
そしてなにより、チミー隊長もこのストーリーに若干ではあるが、噛んでいたのであるが・・・・・彼は興奮するたびに、越前カニのようにアワを吹いてひっくり返ってしまうため、話の内容がまったく伝わってこなかった。
・・・・・・最終的に、隊長の話を要約すると、次のようなストーリーだった。
G-プロジェクトという有名な会社があるのだが、それは一人のカリスマが立ち上げた企業だった。
彼は独り者のため、事業を継続するために弟の子供を養子にしたのだ。
息子はりっぱに成人して、やがて会社に入り、仕事を手伝うようになった。
勤勉で誠実な人柄から、次期経営者としてカリスマに認めてもらえるようになったのだが・・・残念なことに・・・彼は病弱だった。
ある日、真面目な性格が災いして、仕事に打ち込み過ぎて突然死を招いてしまったのだ。
カリスマは嘆き悲しみ、自分を責め続けたが・・・毎日の仕事に忙殺されて、立ち止る事ができなかった。
・・・・・それから10年の歳月が流れた・・・・・
何年かぶりに息子の別宅で遺品の整理をしていると、納戸の片隅から何通かの手紙が出て来たのだ。
それは・・・なんと、なんと、トッ・トッ・トーーーーン・・・!
トン・トン・トンガラシーーー・・・カッ・カッ・カラシレンコーーーーン・・・!
・・・手紙は、息子に当てた、女性からのものだった。
しかも・・・裏側には、ユリナという名前が記してあったではないかーーーーい・・・!
恐る恐る読み進んで行くと、二人の写真と共に、息子を思いやる言葉と楽しい毎日の出来事が綴られていた。
・・・こ・こ・こ・これはー・・・これはー・・・コケコッコーーー・・・!
・・・愛の奇跡・・・甘いトチオトメのような・・・・・・・・・そうか・・・二人は、恋をしていたのだ。
・・・カリスマは、思わず涙を流した。
・・・仕事一辺倒の息子にも、愛する人がいたのだ・・・・・・良かった、良かった・・・・良かった・・・!
・・・こんなステキな人がいたのだ。
彼は、息子を愛してくれた彼女に、心から感謝をした。
だが、何通目かの手紙に、突然、別れの言葉が書かれていたのだ。
自分にはふさわしくないという文面と、惜別の言葉が綴ってあった。
何故だ、何故だ、何故なんだーーーー!
何故、二人は別れなければならなかったのだ・・・!
何故なんだーーー・・・ダヨーーーン・ヨーーーン・・・・!
!!!!!!!!
カリスマは、おもむろに空を見上げ、自分の過去を振り返っていた。
そうか・・・そうか・・・そうなのだ・・・ダヨーーーン・ヨーーーン・・・!
思えば彼も、息子と同じ生い立ちだったのだ。
幼少の頃、華恋小路家へ養子に来た身であった。
彼は周囲に遠慮をして、自分の気持ちを押し殺して生きていた。
そんな中、20歳の大学生の時、同級生と恋に落ちたのだ。
胸の高鳴り、高揚感、今まで知らない夢の世界・・・・・誰よりも、彼女を愛していた。
愛することで、今までの自分を取り戻すことが出来たのだ。
・・・つかの間の・・・楽しい時間が過ぎて行った・・・が・・・やがて周囲の知るところとなり、昼メロのように別れなければならなくなった。
言葉では言い尽くせない・・・悲しみ、怒り、落胆、絶望感・・・・彼は、自分の立場を充分に理解していた。
だからこそ、回りの意見に従うしかなかったのだ。
・・・しかし・・・・・そんな自分を許せなかった。
・・・ある日・・・・・とうとう、感情が爆発したのだ・・・ドッカーーーーン・ドドスカドーーーーーン・ドーーーーン・・・!
彼は家を飛び出し、放浪の旅に出たのだ・・・・そして、30歳の時に会社を立ち上げ、必死の思いで仕事に打ち込んだのだ・・・
!!!!!!!!!
・・・だが・・・いま・・・また・・・息子も同じ運命をたどってしまった。
・・・後悔しても、後悔しきれない・・・・・・・・ただ・・・ただ・・・涙だけが、とめどなく流れ続けた・・・・・・過酷な運命を繰り返してしまった事への懺悔・・・・・・・・走馬灯のように・・・虚しい時間だけが、クルクルと回っていた・・・・
!!!!!!!!!!
バンビー
来月号に、つ・づ・く  ♪ ♪ ♪
【語り手】アーノルド♥ハカチェ∽ソクラテス